APEX(エーペックス)のシーズン8が楽しみです。
福岡市の博多で会計事務所をしている西太嗣(にしたいし)です。
今回は個人事業主として事業をされている方、これから事業を始められる方向けの内容です。
周囲の方から「どのように税理士を探していいのかわからない」「税理士と契約した方が良いのか」といった質問を頂くため、個人事業主の方向けに顧問税理士との契約をおすすめする理由と探し方を書いてみました。
ぜひ最後まで読んで一度考えて頂きたいです。
今回は下記の2点について記載しております。
- 税理士との顧問契約をおすすめする理由
- 税理士の探し方と注意点
1.税理士との顧問契約をおすすめする理由
個人で事業を始められる方やすでにされている方は、税理士との顧問契約を検討されたことはございますでしょうか。
税理士と顧問契約を結ばない理由でよくお聞きするのが、
- まだ売上が少ないから・・・
- 考えてはいるけど探し方が分かりません
- 費用が高いから・・・
- 規模が小さいから会計ソフトあれば大丈夫
- 探すのが面倒くさい
といった内容です。しかし、これらの理由で簡単に辞める前に下記のような考え方もあることを知っていただきたいです。
【売上が少ないから・・・】
⇒売上が少ない時こそ売上を伸ばすために時間を費やすべきです。また、売上が少ない時こそ、届出の出し忘れや経理処理、今後のシュミレーションの不足、本来は経費として計上できるものの漏れ等により納税額が誤って大きくならないようにする必要がございます。
【考えてはいるけど探し方が分からない】
⇒携帯電話またはPCで簡単に探せます。
私の場合は福岡市博多区に住んでいるため「博多区 税理士」や「福岡市 税理士」と検索したら、たくさん候補がでます。
ホームページを見て電話またはメールで連絡すれば、あとは事務所の方から面談等の連絡を頂けると思います。
【費用が高いから・・・】
⇒毎月平均でいくらぐらいを想定していますでしょうか。
年間の売上が900万円の個人事業主様の場合、例えば、顧問料+決算料+記帳料を12ヵ月でならして毎月約2万円(税込)と仮定します。
これが高いか安いかを考える一つの方法として、ご自身の単価で考えてみるのがいいと思います。
・年間売上900万円÷12ヵ月=毎月の売上750,000円
・毎日10時間、月30日のうち22日で、毎月220時間働くと仮定
・1時間当たりの売上は、750,000円÷220時間≒3,410円/時
上記の場合、「20,000円÷3,410円=5.86…」ですので、毎月の経理作業に6時間以上かけた場合は、その6時間分の売上を逃していると考えられるのでその時点で損をしている計算になります。
また、仮に毎月5時間で経理作業が済んでいるという方の場合、3,410円×5時間=17,050円の売上を犠牲にして経理作業をしていると考えられます。
そうすると、「税理士と顧問契約するよりも約3,000円安くできた」と考える方もいるかもしれませんが、「たった3,000円で、税理士から会計入力や決算申告業務、情報提供、節税提案、そして税務調査に向けたリスク軽減というサービスを購入できる」という考え方もできます。
この計算では税理士への対応時間など詳細な仮定は省いておりますが、ある程度ざっくりで構いませんのでコスト計算をしてみるのがおすすめです。
【規模が小さいから会計ソフトがあれば大丈夫】
⇒本当にそうでしょうか。会計ソフトは確かにとても便利です。最近話題のfreeeやMFなどのクラウド会計は、銀行口座と連携することで自動で仕訳を入力してくれるような機能までございます。
しかしながら、会計ソフトは「情報提供、節税提案、財務面等のアドバイス、税務調査に向けたリスク軽減」は提供してくれません。情報はソフト内で提供されていたりしますが、会計や税務に精通していない方がご自身に合う情報をいちから探すのは手間ではないでしょうか。また、節税提案はもちろんのこと、アドバイス等も会計ソフトはしてくれません。さらに、会計や税務に詳しくない方が入力されたデータは間違っていることが多く、本来経費ではないものが含まれていたりするため、税務調査が入った場合にあまりいい結果にはならないのではないかと思います。
【探すのが面倒くさい】
⇒栄養ドリンクでも飲んで頑張って探しましょう。ネットで検索して電話またはメールをするだけです。または、知り合いから評判を聞いて紹介して頂く方法もおすすめです。ついつい後回しにしてしまうことで、後から損をしていたことがわかり後悔する方もいらっしゃいます。
契約しない理由は色々と思いつくと思いますが、どうしてもそのお金が捻出できないという理由でなければ、お近くの税理士事務所やお知り合いの税理士事務所にご相談してみて下さい。
2.顧問税理士の探し方と注意点
税理士の立場からおすすめの探し方と探す場合の注意点を書かせて頂きます。
顧問税理士の探し方は以下の2つが圧倒的におすすめです。
- 実際に事業をしている知り合いから紹介してもらう(紹介)
- インターネットで検索して数か所ピックアップし実際に面談を受けてみる(自分で探す)
この2つについて顧客の立場でのメリットとデメリットは下のような感じになると思います。

顧客の立場からはどちらも一長一短です。つてがある方は「紹介」、つてがないあるいは使いたくない方は「自分で探す」のをおすすめします。紹介の場合は、紹介者が事業をしていて紹介する税理士を利用しているとより安心です。
次に、実際に顧問税理士を探す際の注意点です。これに気をつければいい税理士に出会える可能性がかなり高まると思います。
- なるべく税理士紹介会社を使用しない
- 複数の方に実際に会ってみて(web面談でも可)事務所の雰囲気や相性を確かめる
- 契約した場合の実際の担当者を確認する
- 最初から料金だけで決めない
- 税理士事務所または税理士法人の規模のみで決めない
まず1番目ですが、税理士紹介会社を通じての契約はおすすめしません(関係者様申し訳ございません)。
理由はその手数料の高さです。年間で顧客が税理士に払う約50%~75%を税理士は紹介会社に支払う必要があります。決算料等を含めて100万円なら約50万円~約70万円です。
顧客側は無料だからいいと思うかもしれませんが、税理士の立場を想像すると、普通に考えて50万円しか手元に入ってこないのに100万円分のサービスを提供できますでしょうか。税理士はしっかりと仕事をする方がほとんどだと思いますが、50万円と100万円ではその仕事内容やプラスαのサービスに違いが出てきても不思議ではありません。
次に2番目ですが、税理士事務所と事業者の相性は必ずあります。私自身税理士を選ぶ際の一番のポイントは”相性”だと思います。年配の税理士がいいのか若手がいいのか、大手がいいのか個人が良いのか、雰囲気が堅い事務所がいいのかゆるい事務所がいいのかなどは、実際に会うことで感じる部分が多いと思います。比較することでそれぞれの事務所の雰囲気や考え方の違いを感じることができますので、複数か所で面談を受けてみるのがいいかと思います。
また、3番目も併せて確認することをおすすめします。多くの税理士事務所では税理士資格を持つ方は5~10人に1人の割合で、ほとんどの場合は税理士ではない職員の方が普段の担当となり、税理士は重要な場面や申告の際のチェックに関与するということがございます。大手の税理士法人あるいは事務所になるほどこの傾向にあります。契約した場合に自身を担当してくれるのが、税理士なのかそうではないのか、税理士ではない場合は経験豊富なのか新人なのかまで確認できると安心です。
4番目ですが、最初から料金だけで決めるのは辞めたほうが良いと思います。もちろんこの金額でしてほしいという予算はあると思いますが、相性やサービス内容等を考慮して決めることをおすすめします。例で申し上げますと、記帳+申告作業だけで毎月2万円の税理士Aと、記帳+申告+節税や経営に関するアドバイス+様々な情報提供込みで毎月25,000円の税理士Bなら、値段だけを見てAを選ばないことが重要です。
低価格には低価格の理由が必ずございます。
最後に5番目ですが、税理士事務所の規模で決めるのはおすすめしません。大手には大手の良いところ、中小には中小の良いところがあります。
税理士のお仕事は、個々の能力がお客様へのサービスの質につながりますので、大手=質がいいとは限りません。大手だと新人や非資格者の割合が高くなったり、人の出入りが激しく担当者がコロコロ変わることがあるためです。また機動力や柔軟性という面でも中小の方が勝っている傾向があります。一方で大手の強みとしましては、事務所全体に様々な事例に対応してきた知識や経験が蓄積されていることです。
実際に面談してみると、大手事務所と中小個人事務所の違いを感じることができて面白いと思います。
最後に、私がもし顧客の立場になった場合に具体的にどのように探すかについてです。
方法1:事業をしている知人におすすめの税理士を紹介して頂く。
方法2:自身の事務所が博多であるため、ネットで「博多区 税理士」と検索して該当する事務所を複数ピックアップする。その後、ホームページを見て内容がしっかりしている事務所や雰囲気が良さそうな事務所、自分と年齢が近い事務所など複数候補に絞り、実際に面談をして頂いて最後は相性で決める。
私でしたら、上記の2つのいずれかの方法を取ります。
いかがでしょうか。
今回は「個人事業主の方が税理士と顧問契約をすることをおすすめする理由」と「税理士の探し方および留意点」について記載してみました。
副業が推進されている流れで、今後さらに個人で事業をされる方が増えていくと思います。
今は税理士と契約していないものの検討されている方や税理士の交代を考えている方の参考になればと思います。